公正証書の種類

公正証書の種類

  公正証書には、以下のような種類があります。それぞれの公正証書がどのようなものかなどについて、詳しくは公証人にお尋ねください。
これらの公正証書の効力やメリットなどについては、公正証書の効力・メリットを参照してください。
  1. 遺言公正証書
      財産の相続・遺贈、信託の設定、祭祀主宰者の指定、未成年後見人の指定、遺言執行者の指定など。
    1. 遺言公正証書について、詳しくは遺言公正証書をご覧ください
  2. 尊厳死宣言公正証書
      単なる延命治療の拒否など、どのような死を迎えたいかについての自己決定権に基づく宣言(リビング・ウィル)。
    1. 公証人がご本人の真意に基づく宣言であることを確認した上で作成します。
    2. ご本人の真意による宣言であることを、ご本人が意思表示できない状態になったときに証明する方法として、よく利用されています。
  3. 離婚給付契約公正証書
      養育費、子との面接、財産分与、慰謝料、年金分割など。
    1. 養育費、慰謝料、金銭の財産分与など、金銭の支払いを内容とする契約条項については、執行力が認められています。
  4. 任意後見契約公正証書など
      任意後見契約は、ご本人が高齢等により事理を弁識する能力が不十分な状態となったときの、自分の生活・療養看護・財産の管理に関する事務を、そのような状態になる前に、あらかじめ、信頼できる人に委任しておく契約です。
      この任意後見契約は、公正証書によらなければ効力が生じないとされています。
      また、ご本人が事理を弁識する能力は十分あるものの、高齢・病気等による外出困難その他の身体的理由により、自分の生活・療養看護・財産の管理に関する事務を自身では十分できない場合に、それを信頼できる人に委任する財産管理等委任契約のほか、ご本人の生活状況や健康状態等を継続的に見守ることを委任する見守り契約、死後の葬儀等に関する事務を委任する死後事務委任契約などの公正証書も多く利用されています。
  5. 借地権設定契約、賃貸借契約に関する公正証書
      借地・借家、事業用定期借地権設定、一般定期借地権設定、定期建物賃貸借など。
    1. 賃料の支払いに関する条項については、執行力が認められます。
    2. 事業用定期借地権設定契約は、公正証書によらなければ効力が生じないとされています。
    3. 一般定期借地権設定契約や定期建物賃貸借契約は、公正証書その他の書面によらなければ効力がないとされています。
  6. 信託契約・自己信託に関する公正証書
      委託者が不動産や金銭等の財産を、自己や家族等の生活、福祉その他一定の目的のために受託者に信託し、受託者が、その信託の目的に従って、その信託財産を受託者自身の財産とは区別して、管理・運用などする仕組みです。
  7. その他の各種契約に関する公正証書
      金銭消費貸借、債務承認弁済、売買、贈与、死因贈与、委任、担保設定など。
    1. 違法・無効なものでない限り、どのような契約についても、公正証書にすることによって、その効力を高めることができます。
    2. 貸金その他の金銭債務の支払いを内容とする契約条項については、執行力が認められます。
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  8. 事実実験公正証書
      貸金庫の開披・点検、特許権・実用新案権・工業上のノウハウ・先使用権など知的財産権の証拠保全、証拠保全のための供述録取など。
    1. 公証人が、自らが五感の作用により、直接体験(認識)した私権に関する事実(人の供述を含みます。)を記述して作成するのが事実実験公正証書です。
    2. 自分の権利について、他人との間で紛争が生じた場合、過去にある事実が存在したことを証明することさえできれば、自分の権利が守れるのに、その事実が証拠として残っていないために、自分の権利を守ることができないということが起こり得ます。
      そこで、そのような紛争に備えて、あらかじめ、その事実を事実実験公正証書として証拠にしておくことにより、紛争を予防し、自分の権利を守ることができるのです。
    3. 例えば、現時点で、ある技術等を既に使用していた事実を、事実実験公正証書にしておけば、将来、その事実を証明して、先使用権を守ることができます。
    4. また、ある人の供述が、自分の権利を守るために重要な意味を持っているのに、将来、死亡その他の事由で、その供述が得られなくなってしまう場合に備えて、その供述を、事実実験公正証書にしておけば、後に、証拠として使用することができます。
    5. 知的財産権の保全のための公証制度の利用については、事実実験公正証書のほか、認証や確定日付付与等の方法があり、目的に適した方法を選択できます。
      それぞれの方法の特徴や効果等については、詳しくは各公証事務の説明を参照してください。